導入事例

i-con2.0共創事業事例

作業時間を約3分の1に、アセスメント品質も大幅向上!現場の安全管理を支える報告書支援システム

社名
中原建設株式会社
設立
昭和16年
従業員
約120名
事業内容
建設事業(土木一式、舗装工事ほか) アスファルト合材製造販売業、 再生砕石・再生砂製造販売業
所在地
埼玉県

Before

シートの目視確認とデータの転記に多大な工数を要していた

化学物質のリスクアセスメントでは、現場から集めた情報をもとにSDS(安全データシート)を目視で確認し、CAS番号や含有量などをExcelマクロ(CREATE-SIMPLE)へ手入力していた。
SDSにCAS番号が記載されていない場合は外部サイトで調査する必要があり、データ化されていないPDFはコピー&ペーストもできないため、入力ミスや確認・修正の手戻りも発生していた。

After

作業時間を約3分の1に短縮!効率化とアセスメント品質向上を両立

KENCOPAの報告書支援システムにより、SDSからCAS番号や含有量などの情報を抽出し、CREATE-SIMPLEへの入力を支援。担当者の業務はデータを調べる・打ち込む作業から、AIが整理した内容を確認する作業へと変化した。
これにより、1件あたり約3時間かかっていた作業は1時間以内に短縮。CAS番号調査や手入力の負荷を大きく減らし、アセスメントの精度・信頼性向上にもつながっている。

技術企画グループ

  • 部長 高橋 章 様

  • 課長 吉平 薫 様

  • 係長 和気 麻雅 様


Index

- 法改正で重要性が高まる化学物質リスクアセスメント

- SDS読解・CAS番号調査・手入力に工数を要していた導入前の業務

- 対象物質の増加を見据えた業務基盤整備の必要性

- SDSからの情報抽出とCREATE-SIMPLEへの入力を支援するAIシステム

- 現場での使われ方をすり合わせながら進めた導入のプロセス

- 作業時間を約3分の1に短縮し、確認中心へと移行したアセスメント業務

- 標準化と品質向上による安全管理の信頼性向上

- 完全自動化と現場品質向上に向けたAI活用の展望


法改正で重要性が高まる化学物質リスクアセスメント

-今回の取り組みの対象となった業務について教えてください

高橋様 今回の取り組みは、化学物質リスクアセスメントに関する業務を効率化するものです。開発や推進を担っているのは技術企画グループで、実際に利用していくのは工事グループになります。

化学物質リスクアセスメントでは、現場で使用する材料のSDS(安全データシート)を確認し、そこから必要な情報を読み取って、CREATE-SIMPLEに入力していきます。CREATE-SIMPLEはExcelマクロベースのリスク判定ツールで、そこにCAS番号や含有量などを入力し、リスクアセスメントの結果を作成していく流れです。

今回KENCOPAさんにお願いしたのは、大きく分けると2つです。1つは、SDSからCAS番号や含有量、化学物質名などの情報を抽出すること。もう1つは、その情報をCREATE-SIMPLEへ入力していく部分を自動化することです。

-どのくらいの件数を対象にされていますか

高橋様 現在の件数でいうと、年間で162件ほどです。月にすると13件から14件くらいですね。ただ、これは今後増えていくと考えています。

化学物質のリスクアセスメントは、法律が変わってきていて、現場でも非常に重要なものになってきています。対象となる化学物質も増えているので、今のうちに仕組みを整えておく必要があると感じていました。


SDS読解・CAS番号調査・手入力に工数を要していた導入前の業務

-導入前は、どのような流れで作業されていたのでしょうか

吉平様 もともとは、現場で情報を集めてもらい、それをもとにリスクアセスメントを作成していました。途中からKintoneを使い始めて、現場からの情報収集はKintone上で行うようになりました。

ただ、Kintoneで情報を集めても、最終的にはその内容をCREATE-SIMPLEに入力する必要があります。そこはやはり手入力でした。SDSを見ながら、必要な項目を確認して、Excelに打ち込んでいくという作業です。

-どの工程に特に時間がかかっていましたか

和気様 大変だったのは、CAS番号を調べるところです。

SDSにCAS番号が書いてあればよいのですが、不明なものが出てくることもあります。そうすると、正しいCAS番号を外部のサイトで調べたり、化学物質名から検索したりしなければいけません。

また、含有量がどのくらいあるのかが、安全データシートからなかなか読み取れない場合もあります。そういう時に、これはどう判断すればよいのかと考える時間がかかっていました。

高橋様 手入力によるミスも、どうしても発生します。自分では正しく打ったつもりでも、誤字脱字や入力間違いが起きることがあります。

最終的なレポートを確認した段階で、「ここが違う」「この会社名が違う」と気づいて修正することもありました。通常の流れで3時間ほどかかる業務ですが、ミスや手戻りがあると、それ以上に時間がかかることもありました。

-SDSの形式による難しさもありましたか

高橋様 SDSはPDFで提供されることが多いのですが、データになっていないPDFも多く、コピー&ペーストができません。そのため、目で見て、手で入力するしかない。

手打ちしなくてよいというのは、今回の導入で大きかったところです。目視で確認していたものを、自動で文字起こししてくれるようになったのはかなり効率的だと感じています。


対象物質の増加を見据えた業務基盤整備の必要性

-なぜこのタイミングで、AIを活用した効率化に取り組まれたのでしょうか

高橋様 化学物質のリスクアセスメントは、法律が変わってきていて、現場でも重要度が高くなっています。対象となる化学物質もどんどん増えてきている状態でした。

今は月15件くらいですが、この先20件、30件と増えていくことは、ある程度予想できていました。これは早めに手を打たないと、後で大変なことになるぞという危機感がありました。

ただ、どういうやり方で効率化すればよいのかは、正直あまり思いついていませんでした。そんなタイミングでKENCOPAさんからお話をいただきました。

-KENCOPAとの取り組みが始まったきっかけを教えてください

高橋様 きっかけは、会社にお電話をいただいたことです。AIを使った仕組みを作っている会社だとお聞きしました。

ちょうど私たちの部署でも、AIを建設現場にどう実装していくかというプロジェクトを始めた時期でした。そこに、AIでこういうことをやっていますというお話をいただいたので、一度話を聞いてみようと。

いろいろなAI活用を検討している中で、化学物質リスクアセスメントは、業務負荷も大きく、今後さらに増えていくことが分かっていた領域でした。ですので、まずはここから取り組む意義があると考えました。


SDSからの情報抽出とCREATE-SIMPLEへの入力を支援するAIシステム

-KENCOPAでは、どのような仕組みを導入したのでしょうか

高橋様 今回導入した仕組みは、SDSの読み取りからCREATE-SIMPLEへの入力までを支援するAIシステムです。

従来は、担当者がSDSを確認し、CAS番号、含有量、化学物質名などを読み取ったうえで、CREATE-SIMPLEへ手入力していました。今回のシステムでは、SDSから必要な情報をAIが抽出し、その情報をCREATE-SIMPLEに入力する工程を支援します。

これにより、担当者が一から情報を探し、手作業で転記するのではなく、AIが抽出した内容を確認する流れに変わりました。

-特に自動化の効果が大きかった部分はどこですか

和気様 やはりCAS番号を調べるところですね。他の情報から調べなければいけなかったものが、ほぼなくなってきています。情報が集約されて出てくるので、それを見て、チェックだけすればよい。そこはとても大きいです。

高橋様 手打ちしなくてもよくなったことも大きいですね。先ほども話したように、データになっていないPDFが多く、コピー&ペーストができませんでした。それを自動で読み取ってくれる。そこは、実際の作業感としてもかなり変わりました。


現場での使われ方をすり合わせながら進めた導入のプロセス

-導入にあたり、特に工夫された点はありますか

高橋様 この一連の化学物質リスクアセスメントを、現場でどのように使うのかという認識を、KENCOPAさんと何度もすり合わせました。

KENCOPAさんはAIやシステムの専門家ですが、現場で実際にこの業務を管理しているのは私たちです。ですので、これは現場でどう使われるのか、何のために作っているのか、どのような流れで確認しなければならないのかを、お互いに説明しながら進めました。

「こういうものだから、こういう形で作っていこう」という認識を合わせられたのはよかったと思います。

-SDSの読み取りでは、どのような難しさがありましたか

和気様 法律が変わったばかりだったので、新しいデータシートへの対応が難しい状態でした。手元にあるSDSも、メーカーによって書き方が違います。

どこまで現場に戻してよいのか、こちらで判断しなければいけない場面もあり、悩むことがありました。

高橋様 材料メーカー各社から上がってくるSDSの内容が、かなりバラバラでした。CAS番号が書いてあるものもあれば、書いていないものもあります。同じ化学物質でも、メーカーによって呼び方が違うこともあります。そういうところを拾っていくのは、かなり苦労した点ですね。


作業時間を約3分の1に短縮し、確認中心へと移行したアセスメント業務

-導入後、作業時間はどのように変わりましたか

和気様 半分程度は時間が短縮されていると思います。

AIが読み込んでいる時間も、自分は別の仕事ができます。すべての時間をこの作業に張り付いていなくてもよくなりました。読み込んでくれているおかげで、自分が一から文章を要約しなくてもよくなったことも大きいです。

今は、ほぼ1時間もかからないと思います。もちろん、読み込む内容やエラーの有無によって変わりますが、1件あたり1時間以内では終わっています。

-作業の内容自体にも変化はありましたか

和気様 今は、要約されたものが間違っていないかを照らし合わせる時間になっています。

以前は、自分で調べて、読んで、まとめて、入力していました。今はAIが読み込んだ結果を確認する作業に変わっています。

吉平様 私のところでは、まだ完全にできていないところもあります。ただ、業務内容が変わったという感覚はあります。

要は、入力や調査ではなく、チェックでミスを見つける作業に集約されました。時間的にもかなり手間が減っていますし、品質も良くなったと感じています。

複数の資料やサイトを見比べながら作業していると、どうしても精度が落ちることがあります。そこが一元化されて、確認に集中できるようになったのは大きいですね。


標準化と品質向上による安全管理の信頼性向上

-作業時間以外には、どのような効果がありましたか

吉平様 もともとは現場で対応してもらっていました。ただ、個人個人の知識で進めてしまうところがあり、なかなか統一が難しい面がありました。

そこで一度、グループの方に業務を集約しました。集約することで品質は見やすくなりましたが、その分、業務量が増えてしまいました。

AIを使えば、そこをうまく効率化できるのではないかという発想で、今回の取り組みにつながっています。

高橋様 おそらく他社さんでは、現場ごとに所長さんや技術者さんが対応しているケースも多いと思います。ただ、現場の技術者は施工が優先になります。

そうすると、とりあえず作っておこうとか、一部の物質だけ対応してしまうとか、法改正に追いついていけないということも起こり得ます。

私たちは安全も見ているので、安全パトロールの中で、完璧なものができていない状態も見受けられました。であれば、専門的に私たちがやらないとまずいということで、こちらに集約していきました。

AIによる情報の集約により、現場条件に合わせた職長との打ち合わせから、作業員への周知、保管まで一連の運用が実現しています。今後も品質の向上と安全管理の強化を図りながら、より効果的な運用を進めていきます。

-AI導入によって、品質面ではどのような変化がありましたか

吉平様 チェックでミスを見つける作業に集約されたことで、品質は上がったと思います。

以前は、情報を探すところから入力するところまで、人がすべて行っていました。今は情報が集約されて出てくるので、それを確認すればよい。手入力のミスや、調査の抜け漏れは減らせていると思います。

高橋様 手打ちによるミスは、どうしても起きるものです。そこをAIで補助できるようになったことで、確認作業に集中できるようになりました。


完全自動化と現場品質向上に向けたAI活用の展望

-今後、さらに改善していきたい点はありますか

高橋様 まだ若干、手作業でやっているところがあります。

たとえば、有害性のラベルを最終的なシートに貼り付けるところは、今も人が対応していますね。ここもAIが判断して自動で反映できるようになれば、大きいです。

他にも、細かい部分で「ここももっといけるのではないか」というところがいくつかあります。そこを随時改良して、より完全な自動化に近づけていきたいと考えています。

今は、3時間かかっていたものが1時間以内になっています。ただ、その1時間の中にも、まだ手でやらなければいけない作業が少し残っています。そこを突き詰めていけば、もっと削減できるのではないかと思っています。

-今後、対象件数が増えていくことへの対応についてはどう考えていますか

和気様 できていないところが、これからどうなるのかは気になるところです。

将来的に化学物質の量が増えたときに、AIがどこまで対応できるのか。今の対象物質の数と、将来的に増える数に対して、どのように対応できるかは見ていきたいです。

高橋様 今後、現場からこのシートを作る数はもっと増えていく可能性があります。今は15件程度ですが、20件、30件、40件となっていくかもしれません。

法律や対象物質がこのまま変わらないのであれば、今のままでもよいかもしれません。ただ、増えていくことが予想されている以上、完全自動化に近づけていく必要があります。

-中原建設様として、今後のAI活用にはどのような展望がありますか

高橋様 私たちのプロジェクトのポイントは、建設業の現場でいかにAIをうまく活用できるかです。

効率化だけではありません。私たちが作る構築物の質を、AIを使ってどう上げていけるかということも大きなテーマです。KENCOPAさんや他の企業とも一緒に、現場の質を上げていくAIの使い方を考えていけるとよいと思っています。

たとえば、コンクリート構造物のひび割れの確認があります。どこに、どのくらいのひびが入っているかを調査し、有害なひびではないことを証明しなければいけません。

今は、人間の目で見て、クラックスケールを使って判断しています。ただ、人が判断すると、どうしてもバイアスがかかることがあります。

そこを、たとえば画像解析のAIを使って、このコンクリートは大丈夫です、このひびは有害ではありません、といった証拠データを作れるようにしたい。そうすれば、より説得力のある品質管理ができると思います。

今回の化学物質リスクアセスメントの仕組みも、完成したら外部へのアピール材料として活用していきたいです。単に業務を楽にするだけでなく、AIを使って現場の信頼性や品質を高める取り組みとして広げていきたいと考えています。

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