導入事例

i-con2.0共創事業事例

N値・室内土質試験結果の取りまとめを自動化。記載ミスと手戻りを減らす報告書支援システム

社名
株式会社日さく
設立
1912年
従業員
306名
事業内容
さく井工事、特殊土木工事、地質調査 等
所在地
埼玉県

Before

Excelでの手動集計による記載ミスと、修正に伴う手戻りの多さが課題に

地質調査報告書の作成では、N値や室内土質試験結果などの取りまとめをExcelベースで行っていた。
手作業による入力・集計が多く、記載ミスが発生しやすいことに加え、条件変更が入ると同じ資料を再作成する必要があった。
また、地質・地盤系の専門人材の確保が難しくなる中で、専門外の社員でもデータ処理業務に取り組みやすい支援体制が求められていた。

After

N値・室内土質試験結果の取りまとめ自動化により業務全体で約1割の工数削減

KENCOPAとの共同開発により、生成AIを活用した地形・地質概要文の自動生成システムと、N値・室内土質試験結果などを取りまとめる自動化ツールを導入。
データ処理の自動化により、条件変更時の再集計・再作成をスムーズにし、対象業務の工数半減を見込む。
報告書作成全体でも約1割の効率化を目指し、現場メンバーが確認・判断・顧客対応に集中しやすい業務フローを整えた。

地質調査部門

部長 堀 様


Index

-地質調査の成果を支える報告書作成と結果取りまとめ業務

-Excelでの手作業による記載ミスと条件変更時の手戻り

-専門人材不足の中で求められたデータ処理業務の支援

-DX化の検討タイミングと重なったKENCOPAからの提案

-生成AIと自動化ツールによる報告書作成工程の支援

-一部工程の工数半減、報告書作成全体で約1割効率化の見込み

-拠点ごとの進め方の可視化と業務標準化のきっかけ

-報告書全体の自動生成とさらなる業務へのAI活用の展開


地質調査の成果を支える報告書作成と結果取りまとめ業務

-今回の取り組みの対象となった業務について教えてください

堀 様 今回の取り組みは、地質調査報告書の作成支援に関するものです。当社の地質調査部門では、地盤系の調査、斜面防災系の調査、地下水系の調査、土壌汚染に関する調査などを扱っています。

その中でも、地盤系の調査結果の取りまとめは、業務量が多い領域です。地質調査報告書では、現地で得られた調査結果を整理し、地形や地質の概要、N値や室内土質試験結果などをまとめていきます。

調査結果をお客様に正しく伝えるためには、数値や試験結果を正確に整理し、報告書として分かりやすくまとめることが重要です。

今回KENCOPAさんにお願いしたのは、大きく分けると2つです。1つは、生成AIを活用した地形・地質概要文の自動生成です。もう1つは、N値や室内土質試験結果など、主要な調査結果を取りまとめる自動化ツールです。

-報告書作成の中でも、特に結果の取りまとめが重要な工程だったのでしょうか

堀 様 そうですね。報告書は、調査の成果をお客様に提出するための重要な資料です。その中で、N値や室内土質試験結果は、報告書の根拠となる一次データです。ここに記載ミスや集計ミスがあったり、条件変更後の反映漏れがあったりすると、報告書全体の信頼性にも関わります。

一方で、こうした結果の取りまとめは、一定の形式に沿って整理する部分も多くあります。そのため、データ処理や集計の部分は、ツールで支援できる余地があると考えていました。


Excelでの手作業による記載ミスと条件変更時の手戻り

-導入前はどのような流れで作業されていましたか

堀 様 N値や室内土質試験結果の取りまとめは、Excelベースで行っていました。各担当者が工夫しながら資料を作成していましたが、手を動かす作業が多いため、どうしても記載ミスなどが発生しやすい状態でした。

特に、条件が変わったときには、同じ資料をもう一度作り直す必要があります。一度報告書を作成した後に、確認や指摘を受けて修正し、再度取りまとめていく。そうした作業が発生すると、納期が近いタイミングでは負担が大きくなります。報告書は提出期限の直前まで作業が続くことも多いので、手戻りが発生するとミスも起きやすくなります。

-報告書の再作成による負担が大きかったということでしょうか

堀 様 そうですね。条件が変わったときに、もう一度同じ資料を作らなければならない場面があります。そうしたときに、自動化ツールがあれば比較的すぐに反映できる。そこは非常に良い点だと考えていました。

報告書作成では、確認しなければならない項目も多くあります。人が確認するべきところは残りますが、データ処理や取りまとめの部分を支援するツールがあれば、手戻りによる負担はかなり軽減できると思います。


専門人材不足の中で求められたデータ処理業務の支援

-報告書作成業務の効率化に取り組んだ背景を教えてください

堀 様 人材確保の難しさは、この取り組みの大きな背景の一つです。以前は、理学部で地質を学んだ方や、工学部で地盤・土質を学んだ方を採用できていました。

もちろん今もそうした専門性を持つ方は必要ですが、そもそも人数が少なくなっていますし、この業界に入ってくれる方も減ってきている実感があります。今後は、専門分野を学んできた方だけではなく、文系人材も含めて採用の間口を広げていく必要があると考えています。

-専門外の方が業務に入るうえでも、データ処理の支援が必要になるということでしょうか

堀 様 そうです。もちろん、データ処理が苦手なままでよいということではありません。基本的な部分は理解してもらう必要があります。

ただ、数値処理や資料作成の一部をツールで支援できるかどうかは、大きな違いになります。

データ処理のような業務を自動化できれば、社員はお客様とのコミュニケーションや現場での対応など、得意な部分をより生かしやすくなります。

これからAIがさまざまな業務を支援していくようになれば、人が担うべきコミュニケーションや判断の価値は、より大きくなるのではないかと考えています。

-専門的な判断が必要な業務と自動化できる業務は、どのように異なりますか

堀 様 地質の専門知識が必要な領域は、当然ながら人の判断が重要です。たとえば、トンネルやダムのような高度な地質判断が求められる領域では、知識や経験がなければ難しい部分があります。

一方で、データを処理し、決まった形式に取りまとめていくような業務は、自動化できる余地があると感じています。今回の取り組みは、そうした業務を支援するための第一歩です。


DX化の検討タイミングと重なったKENCOPAからの提案

-KENCOPAとの取り組みが始まったきっかけを教えてください

堀 様 きっかけは、KENCOPAさんからホームページ経由でご連絡をいただいたことです。ちょうど当社でも、これからDXを進めていかなければならないと考えていたタイミングでした。

報告書や計画書の作成支援についても、AIを活用すればもっと楽になるのではないかという考えはあり、そこにKENCOPAさんからお話をいただいて一度相談してみようという流れになりました。

-他社との比較検討もされたのでしょうか

堀 様 正直に言うと、各社を細かく比較して決めたというよりは、タイミングが大きかったと思います。当社がDX化を考えていたタイミングと、KENCOPAさんからの提案が重なったことが何よりも大きかったです。

報告書や計画書の作成は、業務の中でも負担が大きい部分です。そこに対して具体的な支援ができるのであれば、取り組む意義は大きいと思いました。


生成AIと自動化ツールによる報告書作成工程の支援

-今回導入したシステムについて教えてください

堀 様 今回導入した仕組みは、地質調査報告書の作成を支援するものです。

1つは、生成AIを活用して地形・地質概要文を自動生成するシステムです。もう1つは、N値や室内土質試験結果など、主要な調査結果を取りまとめる自動化ツールです。

後者は従来、担当者がExcel上で必要な項目を整理し、手作業で取りまとめていました。今回のシステムでは、その一部を自動化することで、データ処理や条件変更時の編集作業を支援します。

-特に効果を期待している部分はどこですか

堀 様 やはり、条件変更が入ったときの対応です。一度作った資料に修正が入ると、そこからもう一度取りまとめ直す必要があります。これまでは、その作業に時間がかかっていました。自動化ツールがあれば、変更内容に応じて比較的すぐに反映できます。報告書の納期が近いタイミングでは、そこが大きな価値になると思います。

また、手作業による記載ミスを減らせることも重要です。入力や転記の負荷を減らし、人は確認や判断に集中できるようにする。そうした業務の流れに変えていきたいと考えています。


一部工程の工数半減、報告書作成全体で約1割効率化の見込み

-導入後、どの程度の効率化を期待されていますか

堀 様 まだ本格的な運用はこれからなので、正確な効果は今後確認していく必要があります。今回自動化の対象となる業務は、報告書作成全体のうち約2割だと推測しています。その部分の工数を半減できれば、報告書作成全体では約1割の効率化につながるのではないかと期待しています。

-報告書作成全体のすべてを自動化するわけではなく、一部工程から着手した形でしょうか

堀 様 そうです。報告書作成には人が考えなければならない部分もあります。特に考察や判断に関わる部分は、今後も人が確認する必要があります。一方で、結果の取りまとめやデータ処理のような部分は、自動化できる余地が大きいと思います。まずは、そこを効率化することで、報告書作成全体の負担を軽くしたいと考えています。

-業務の進め方にはどのような影響がありますか

堀 様 今までは、データを集計して資料を作ること自体に時間がかかっていました。今後は、ツールが整理した内容を確認し、必要に応じて修正する流れに変えていけると思います。

単に時間を短くするだけではなく、ミスを減らし、確認の質を上げることにもつなげたいです。数値処理が得意ではない社員でも、ツールを活用することでスキルを補いながら業務に取り組めるようになればよいと考えています。


拠点ごとの進め方の可視化と業務標準化のきっかけ

-導入プロセスの中で、特に印象に残っていることはありますか

堀 様 異なる事業所のメンバーで、報告書作成の進め方に違いがあることが認識できたのは良かったと思います。最終的な成果物は似ていても、そこに至るまでの過程や作業の進め方は、拠点ごとに違う部分がありました。

これまではその違いを明確に把握する機会があまりありませんでしたが、今回の取り組みを通じて違いが見えるようになりました。今後の標準化を考えるうえでも、このことには意味があると思います。

-現場メンバーも要件整理に関わられたのでしょうか

堀 様 調査部門の若手・中堅メンバーに入ってもらい、実際に使う人たちで仕様を詰めていきました。異なる事業所のメンバーが関わり、それぞれのやり方や使いやすさを踏まえながら、現場で使える形に近づけていきました。

私自身は大きな方向性を見る立場で、細かいところは実務を担っているメンバーに任せる形でしたが、実際に使う人たちが細部を確認してくれたことで、現場に合ったものに仕上がってきたと思います。

-開発を進めるうえで、気づいた点はありましたか

堀 様 最初に要件をどこまで具体化するかは、やはり重要だと感じました。生成AIのように、着地点が見えにくいものは、小さく作って試しながら改善していく進め方が合うと思います。

一方で、Excelベースの自動化ツールのように、最終的な形がある程度決まっているものは、最初に要件をしっかり固めておいた方が進めやすいと感じました。今回の経験を踏まえると、今後は優先順位も含めて要件を整理し、どこまでを開発範囲に含めるのかを最初に確認しておくことが重要だと思います。


報告書全体の自動生成とさらなる業務へのAI活用の展開

-今後、さらに改善していきたい点はありますか

堀 様 将来的には、報告書を最初から最後まで自動生成できるようにしたいです。今回は、報告書の中でも結果の取りまとめに関する部分から始めています。

ただ、報告書には道路、橋梁、河川など、目的ごとに異なる形式があります。お客様によっても、計画書や報告書の章立て、フォーマットが違うことがあります。

そうした違いを覚えさせておき、仕様を入力すれば、自社のフォーマットやお客様ごとのフォーマットに合わせてWordで出力できるようになると、業務を大幅に効率化できると思います。

-考察部分の自動化については、どのように考えていますか

堀 様 考察部分は今は人が考えて書いています。そこは中身をしっかり確認しなければならないので、すべてを自動化するのは簡単ではありません。

ただ、記載しなければならない項目をチェックしたり、「こういう点に注意した方がよい」と提示したりするような補助的な使い方はできるのではないかと思います。

-地質調査業務全体では、他にもAI活用の可能性はありますか

堀 様 いろいろな可能性はあると思います。

たとえば、地中レーダーの画像を技術者が見て評価する業務などは、画像解析のような技術とAIを掛け合わせて達成できるかもしれません。

また、地質のコアサンプルの評価では、写真だけでなく、実際に触って判断する部分があります。砂なのか、粘土なのか、その間のシルトなのかといった判断には、触感も関係します。そのため、写真だけで完全に判断するのは難しく、場合によってはセンサーなども実装上必要になるかもしれません。

まずは、現在顕在化している困りごとを一つずつ解決していくことが重要だと考えています。報告書作成の中にも、まだ効率化できる部分は多くあります。KENCOPAさんには、そうした現場の課題を一緒に整理しながら、継続的に支援してもらえるとありがたいです。

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